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EST普及推進事業とは ESTを目指して ESTデータベース ESTリンク集
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  交通エコロジー・モビリティ財団 交通環境対策部
 ESTモデル事業地域 柏市・流山市(千葉県)
主な方向性
更新日時
公共交通の利用促進
平成21年1月
  ESTデータベース記載事項仕様
 
事業計画
図 事業計画
 
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(1)地域概要

 
対象国
 日本
対象都道府県
 千葉県
対象市町村
 柏市・流山市
地域概要
 人口 53万人(従業者数 ***万人)
   (柏市38万人、流山市15万人)
 面積 150km
   (柏市115km、八潮市35km
交通移動概要
 柏市
  自動車
鉄道
バス
38%
22%
1%
 (平成10年度パーソントリップ調査)
 流山市
  自動車
鉄道
バス
***%
***%
***%
 
       
       
(2)取組

  ○つくばエクスプレス開業を契機とするバス網再編などによるEST

概要

   

 柏市・流山市の鉄道利用はJR常磐線沿線が中心となっており、首都圏の環状線である国道16号が通過することもあり、広大な市域においては自動車中心型の都市形態であった。2005年に開業したつくばエクスプレスにより、複数の都心に向かう鉄道が通過することにより、公共交通利便性が高まり自動車依存の緩和が期待されている地域である。
 また地域内には、新線の開業を前提に進出の東京大学柏の葉キャンパスがあり、各種の試行や検討体制が産官学連携型の取組みとしての特徴も持っている。

   
  地域計画での位置づけ
   
   
計画種類
総合都市交通計画
公共交通体系調査
環境基本計画
計画など名称 流山市総合都市交通計画 流山市公共交通体系策定調査 流山市環境基本計画
策定年次 平成3年
1991年
平成17年3月
2005年
平成17年
2005年
目標年次 **** ****
平成26年度
2014年
環境関連目標値
(CO
記載は無い 記載は無い  
   
  ESTに係る目標値
    概算排出量
 概算排出量:535万t−CO/年間(53万人×10.1t―CO/年間)
 概算自動車排出量:95万t−CO/年間(53万人×1.8t―CO/年間)
目標年次:平成19年度
2市合計
CO削減量:明示無し
 市内バス利用者数 1%増加
 自転車駐輪場契約台数 1%増加
 CNG車導入 5%増加
   
  取組手法
       
低燃費車導入
道路整備
交通管理の高度化
公共交通改善
歩行者空間の充足
行動変容
その他
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CNG車の導入 駅前広場整備
自転車走行に配慮した道路整備
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バス路線再編
コミュニティバスの導入
ノンステップバスの導入
自転車駐輪場整備 端末交通における自動車から公共交通転換などの広報
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  バスネットワーク再編
   

 東京都心の秋葉原と茨城県のつくば研究学園都市とを結ぶ2005年に開業したつくばエクスプレスに併せて市内のバス路線網の再編を行い、鉄道駅アクセスが便利なバス網としている。

 
  コミュニティバスの導入
     交通不便地域の解消のために、流山市では定額150円のコミュニティバスぐりーんバス、柏市では定額200円でのジャンボ乗合タクシーを運行の試行を行っている。
 
 
(3)効果

  実施の効果
     
 
 
削減量(t-CO)
目標達成率(%)
効果持続性
他地域展開性
低燃費車 低公害車導入
65
95
道路整備 駅前広場整備
-
-
交通管理 PTPS導入
26
100
公共交通 TX開業
2736
-
コミュニティバス導入
49
-
×
歩行者 駐輪場整備
19
-
行動変容 MM
 
 
-
-
その他  
 
 
×:継続した投資が必要  ※:地域特性や条件が必要
 
  効果検証の手法の特徴
   

 つくばエクスプレス開業による効果については、アンケート調査から行動変化を把握している。コミュニティバス導入効果については、乗車人数の実績値を用いて算出している。

   
 
(4)評価

   

 柏市・流山市は東京都心への通勤者が多い郊外ベッドタウンとして、また柏駅周辺の百貨店などを中核とした千葉県北部、茨城県南部を代表とする商業集積地としても特徴を持っている地域である。しかし従前の地域は2車線道路を中心として質、量共に十分な状態ではなく、自動車利用の増加が交通状況の悪化に直結する環境にあった。
 平成17年夏に“つくばエクスプレス”が開業したことにより、JR常磐線に過度に集中していた利用の緩和が図られるとともに、新線として利用の純増も期待され、既存線、新線の双方併せて鉄道総利用の増加が期待されたものである。
 また、つくばエクスプレス沿線は従来低密度開発地域であったため、駅まではマイカーが利用されやすい環境にあった。これに対してはバス網の再編により期待したレベルまでの利用者転換が図れるのかが注目されていたものである。
 つくばエクスプレスの開業は千載一遇の地域公共交通再編の機会であり、そのタイミングに合わせて様々な政策を短期間の間に実施することによって、住民に具体的なEST像を提案している点は高く評価できる。
 モデル事業の成果を見ると、つくばエクスプレスの開業により多くの二酸化炭素排出削減を達成しているのに加えて、コミュニティバスの導入により、公共交通への転換をさらに促進していることが分かる。また、低公害車の導入やPTPSの導入についても二酸化炭素削減量の目標をほぼ達成しており、駐輪場の整備も合わせて総合的に公共交通への転換を促進していることが評価できる。
 つまり、つくばエクスプレス開業は、同地域における総合交通対策の基幹的役割を担うものと考えられる。これに対してESTモデル事業は、つくばエクスプレスの開業による交通利用転換によるCO2削減の収穫期の初期にあたったものである。開業時から3ヵ年にわたり、大都市部郊外における車依存型の低密度住居地域において、交通利用転換を促すスタートダッシュ的な役割を担うことも期待されたと考えられる。
但し、ESTモデル事業の第1期にあたる地域であるため、次の視点で再整理を図ると、いくつかの点で今後の事業のあり方の改善ヒントも得られている。
○移動距離別での検証
・東京などに向かう中長距離移動の車からの転換
 当初に期待された以上の鉄道利用増加があったことから、中長距離移動からの転換効果がある程度達成出来ていると見込まれる。
 なお、このような効果に至った背景として、
・開業時から初乗り区間運賃や、終点までの運賃を低額で設定するなど戦略的な乗車運賃設定がされていた
・高架、地下化による高質な専用軌道により高速運転が可能で、当初から快速運行の導入などによる利便性の追及
 という事前条件が十分に整っていたところに、
・駅周辺整備などの基本インフラの提供
 が連動したことにあると考えられる。

・駅アクセス、地域内移動の車からの転換
 年間バス利用者数は、つくばエクスプレス開業前の年間85.1万人の利用に対して開業後は平成18年91.9万人、平成19年91.5万人となっており開業前から比較していると増加している。
また駅に隣接する駐輪場の利用については定期契約台数ベースで、50.0千台あったものが平成18年度49.8千台、平成19年度47.2千台と微減傾向となっている。
 駐輪場利用の微減傾向の点についてのモデル地域による分析では、自転車から徒歩へ転換する駅利用者が多く見られたとの指摘がある。
 但し、鉄道利用の大幅増に比してバス利用の微減傾向、自転車駐輪の減少をトータルでみると、駅アクセスにおいてはマイカー利用が一定規模残っている、または駅までの利用では微増している可能性があるのではと推察される。
 よって同地域では駅までのマイカーアクセスから自転車やバスでのアクセスに転換をさらに促すような、駐車など整備だけに依存しないレベルが高い対策が必要のようである。
この点で、収容台数に余裕を生じていると見られる駐輪場や、鉄道開業に併せて整備された道路、PTPSなどにより定時性を増していると見られるバスを活用するような対策などが考えられる。

○先行する補助や導入促進事業の面からの検証
 PTPSの整備、CNG車の導入において、前者はつくばエクスプレス駅などと関係する区間での整備という点で、バスの速度向上などによるCO2削減に寄与している。しかし、バス利用者のさらなる増加まで期待した場合には、他策との連携、例えばよりバスが乗り易くなるような施策や、起伏のある地域に応じたバス停までのアクセスの改善なども必要であるようである。
 CNG車の導入においては、導入を支援する既存制度があった上、低公害車導入計画などの後押しも加わり、当初の目標以上の導入が進んだといえる。
 惜しむらくはCNG車の導入と、先行する交通利用の転換促進などの事業との連携が十分でないように見える点がある。
 この点では、CNG車を新駅に係わる路線などで重点的に導入し、それをEST取組みの広報車両として積極的に活用するなどまで出来ていれば、単体としての削減効果に加えて、付加的な削減にも効果を発揮していた可能性もある。単体車両の更新は、所与の費用を投下し導入されれば確実にCO2削減効果が見込めるものだからこそ、ESTの視点での付加的な効果を発揮するような相互策や戦略がさらに望まれる部分である。

 なお、このような視点で各種の課題検証が可能となったのはESTモデル事業や総合交通戦略の観点から、鉄道、バス、自転車など対策における利用実績を経年的かつ横断的に把握、比較し評価するPDCAサイクルが導入されていたことが、本評価に大きく貢献している。
 今後は、いかにこれらの施策を継続する仕組みを整えるかが課題となっている。特にコミュニティバスを市内の各地で運行しており、一定の効果がみられるものの、財政負担も大きくなっているように見受けられる。コミュニティバスの運行に際しては、トリガー方式の採用や運行見直し基準を事前に定めておくなど、住民の自発性を引き出す方式を組み合わせることによって継続的な運行を目指すことが必要になってくると思われる。その際には、制度面だけではなくモビリティ・マネジメントとの併用しながら、より効果を高めていくことが期待される。

     
 
(5)連絡先、関係窓口

    柏市都市計画部交通政策室 
電話 04-7167-1219
流山市都市計画部都市計画課交通計画推進室
電話 04-7150-6087
目次
 
 
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