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  交通エコロジー・モビリティ財団 交通環境対策部
第3回 EST交通環境大賞の審査結果
   

【大賞】柏市
「総合交通モデル都市柏」

(概要)
 千葉県柏市では平成17年8月につくばエクスプレスが開業し、本市の北部地域に、柏の葉キャンパス駅と柏たなか駅の2駅が設置された。柏駅周辺と並ぶ本市の都心拠点として、柏の葉キャンパス駅を中心に環境に配慮した新しいまちづくりを展開している。交通分野においては平成16年度に国土交通省よりESTモデル地域に選定され、つくばエクスプレス沿線を中心にEST実現を目指す先導的な取り組みを行ってきた。また、平成22年3月に柏市総合交通計画を策定し、柏市全域を対象とした総合的な計画を推進すべく環境的にも効果のある以下の事業を行っている。

  1. バス交通の利便性・利用者数向上
  2. 低公害車導入
  3. エコドライブの推進
  4. 交通円滑化事業
  5. レンタサイクル事業、コミュニティサイクル社会実験、マルチ交通シェアリング社会実験
  6. 交通バリアフリー化事業

 このような事業の結果の一例として、千葉県全域のPT調査では平成10年度から平成20年度にかけてバスの分担率は減少しているにもかかわらず、柏市域では4.3%から5.2%まで増加しており、施策の効果が顕著に現れている。
 現在、ESTプロジェクトで培った施策をさらに発展させるべく、内閣府の社会還元加速プロジェクトのITSモデル都市に応募し、全国で4番目の都市に選定された。このことから柏ITS推進協議会を組織し、更なるCO2の削減、交通環境の改善だけでなく街づくりにも寄与できるよう取組んでいる。

(受賞理由)
 人と環境に優しい次世代型交通の実現を目指し、ESTモデル事業やITSモデル都市などの先進的なプロジェクトに参画することで、バス路線の新設、公共車両優先システム(PTPS)や低公害車・ノンステップバスの導入、バスマップの配布、コミュニティサイクルの導入等の対策を円滑に推進し、バス分担率の向上等の良好な結果を上げたことが評価できる。



【優秀賞】高松市総合都市交通計画推進協議会
「高松市総合都市交通計画」

(概要)
 高松市では、持続可能で人と環境にやさしい環境共生都市「多核連携型コンパクト・エコシティ」を目指すべき都市構造として掲げ、その実現に向けた柱の一つとして、過度な自動車利用に依存することのない、環境にやさしい公共交通を基軸とした利便性の高い交通体系を構築することとしている。
 平成20年より各協議会を立ち上げ、自動車から公共交通への利用転換による低炭素社会実現に向けた高松市環境配慮型都市交通計画や、新交通システムの導入検討を含む高松市交通戦略計画を策定し、これらに加え高松地区における自転車を利用した都市(まち)づくり計画も含めた3つの計画を踏まえ、新たな高松市総合都市交通計画を平成22年11月にとりまとめた。
 この計画の推進に当たっては、学識経験者を始め、鉄道・バス・タクシーなど事業者やNPO・コミュニティ代表者、公募による市民代表、更には国や県の行政関係者も参画した協議会を設置し、継続的に協議、連携を図りながら、以下の施策を進めている。

  1. 公共交通の利用促進
    • バス運行社会実験
    • 地域組織主体のコミバス導入支援
  2. サイクル・エコシティ高松による自転車利用の促進
    • 自転車利用環境整備
  3. 市民に対する公共交通利用の啓発活動
    • カーフリーデー高松
    • シンポジウム等の開催
    • 転入者への啓発
  4. 交通事業者と地域の連携
    • 交通系ICカード(IruCa)の地域連携

(受賞理由)
 過度な自動車利用に依存することのない、環境にやさしい公共交通を基軸とした利便性の高い交通体系を構築するため、バスや自転車の社会実験等で試行を重ねながら、着実に取組みを進めていることが評価に値する。



【奨励賞】和歌山の交通まちづくりを進める会“わかやま小町”
「和歌山都市圏の交通まちづくり活動」

(概要)
 和歌山の交通まちづくりを進める会“わかやま小町”は、南海電鉄貴志川線(現:和歌山電鐵)廃線問題をきっかけに発足した、まちづくり団体 和歌山市民アクティブネットワーク内の貴志川線分科会が前身である。貴志川線が存続となった際の費用対効果の分析をシンクタンク、学術機関、市民などが連携して実施し、存続の足がかりのひとつとなった。これを機に、和歌山市を中心とした60万人都市圏の交通まちづくり活動に従事するようになった。
 活動エリアは和歌山市が中心である。平成19 年10月より、これまで4回、公共交通路線図「wap」を発行している。交通事業者が配布する路線図は紙幅や掲出スペースの関係で大幅なデフォルメを求められたり、東が上になっていたり、と実用的に使うには足らない部分があったほか、複数の事業者の路線を同時に掲載したマップはこれまで存在していなかった。このためwapでは、国土地理院の地形図をベースに地形や道路、線路をトレースし、そこに和歌山市内のすべての鉄道の駅、バス路線・停留所を掲載している。
 ダイヤ改正に合わせて小改訂を重ねている。最新版は平成22年11月であり、これまでの合計発行部数は37,000部である。マップの特徴として、通常路線図に多いコート紙ではなく、非木材紙を用い、余白をできるだけ多く取ることで、書き込みがしやすいように工夫しているほか、色覚バリアフリーに極力配慮し、煩雑になりやすいバス路線を見やすくするようにしている。最新版では各交通事業者の携帯電話向けWebサイトのURLにつながる二次元コードを掲載し、すぐにダイヤが調べられるように改良した。
 そのほか、事業者向けにモビリティマネジメントを実施し、わかやま電鉄貴志川線が設けている産官学民の各組織により構成される貴志川線運営委員会、和歌山市が今年度から設置した和歌山市公共交通会議の委員などに役員が参画している。また、和歌山電鐵、和歌山バスといった地元公共交通事業者との意見交換や協議、役員が持つ専門性の発揮など、幅広く地域の公共交通活性化に向けた取り組みを実施している。

(受賞理由)
 応募団体が作成した公共交通路線図「wap」は、全ての路線・駅・停留所等の情報が正確に掲載されていることはもとより、分かり易い上、デザイン性が高く、極めて優れている。又、モビリティマネジメント等に行政・市民・学識経験者が連携して粘り強く取組んでおり、EST推進に大きく寄与していることも評価できる。


【奨励賞】株式会社ドーコンモビリティデザイン、札幌大通まちづくり株式会社、環境NGO ezorock
「札幌みんなのサイクル ポロクル」

(概要)
 札幌みんなのサイクル ポロクルは、(株)ドーコンモビリティデザインが平成23年4月から本格的にスタートした自転車共同利用サービスである。3年前には学生を中心としたイベント、2年前には環境省の社会実験として、平成22年はNTTドコモと共同で実証実験を行うなど、東京大学・北海道大学の学識者らと企画を煮詰め、地域のプレイヤーとともに試行錯誤を繰り返し現在に至っている。平成23年10月末時点で、札幌都心部を中心に40箇所のサイクルポートとおよそ250台の自転車を配備している。自転車共同利用サービスとは、専用のサイクルポートであれば 自転車をどこでも借りられて、どこでも返せる新しい交通サービスであり、乗り捨てできるという点が一般的なレンタサイクルと異なる。自動車利用から自転車利用に切り替えればCO2排出削減に、自分の自転車から切り替えれば放置自転車対策に、といった交通環境の改善に繋がる。
 ポロクルは、無人で自転車を貸出・返却できるように、ICカードかおサイフケータイをサイクルポートにかざすだけでロックの施錠・解錠ができるシステムとして独自に開発した。このサイクルポートは、携帯電話網を用いて通信・個人認証するとともに、ソーラー発電による電力供給を実現していることから、工事不要で容易に設置・撤去が可能である。
 また、ポロクルでは、事業主体である(株)ドーコンモビリティデザインを中心に、まちづくりを担う札幌大通まちづくり(株)や、ひとづくりを担う環境NGO ezorockと連携し、ポロクルに関連した様々な取り組みを行っている。例えば、札幌大通まちづくり(株)は、ポロクルを活用した放置自転車対策やイベントなどでの活用による中心市街地活性化策を、環境NGO ezorockは、点検・整備等の運営業務を担う傍ら、スタッフが自転車で走行する際に歩行者を優先した走行ルールを徹底するなど、自転車マナー啓発を行っている。

(受賞理由)
 国内でコミュニティサイクルの社会実験は多くの地域で行われているものの、事業化に至った事例はまだ少なく、運用会社を設立した事例は殆どない。欧州の事例ほどではないものの、車両数 及び ポート数は国内最大規模であり、今後の展開が期待できる点も評価できる。


【奨励賞】山形県高畠町
「1,300人が受講 高畠町のエコドライブ教習会 〜地域の核としての活動に発展〜」

(概要)
 高畠町は公共交通機関がほとんどないため、1世帯あたりの自動車保有台数が2.89台と極めて高く、18歳以上のほとんどが運転免許を保有し、自動車がなければ生活が成り立たないのが現状である。そのため、エネルギーの節約、地球温暖化防止のためにエコドライブを重点的に推進してきた。
 エコドライブを始めるにあたってエコドライブ普及員を財団法人省エネルギーセンターの支援を受けて15名養成し、エコドライブ2,000名(運転免許証保有者の約10%)受講を目標に講習会を開始した。
 平成19年度は座学講習を実施したものの、実車がないとほとんど効果がないことがわかり、翌年度から実車教習会だけに絞り、エコドライブ週間を設け集中して開催した。
 すぐに活動につながったのは、高畠町が認定している環境アドバイザーの存在があっからである。環境アドバイザーは、平成15年度に活動を始め、各種団体、サークル、企業研修、小中学校の環境学習等で、年間100回を超す環境学習を行っており、講座運営のノウハウをすでに持っていた。
 交通安全関連団体、ISO14001取得企業、町建設クラブなど30社以上を訪問し、参加を要請したことで、数社合同や就業時間後の開催にも応じ、参加しやすい環境を整え受講者を確保してきた。
 さらに、エコドライブを地域に広げるために、置賜地区や近隣の川西町、白鷹町に出張して教習会を実施した。また、平成22年度は、白鷹町、庄内町に対し、エコドライブ普及員の養成講座を、地域実情にあった進め方、受講者に実践してもらうために工夫しているポイントなど、高畠オリジナルを加えて開催し、地域の核としても活動をしてきた。
 ほかにも、エコドライブ通信の全戸配布、アイドリングストップ看板の設置、マイカー点検教室、エコカー試乗会、ケーブルテレビでの放送などを行い、さまざまな角度からエコドライブの意識醸成を図っている。

(受賞理由)
 人口約2万5千人の公共交通機関が殆どない自治体で温暖化対策を推進するため、住民と行政が一体となってエコドライブ実車教習会を開催し、人口の5%以上の受講実績を上げており、エコドライブ普及のモデルケースとして評価できる。

     
     
 
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