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  交通エコロジー・モビリティ財団 交通環境対策部
第6回 EST交通環境大賞の審査結果
   

【大賞 国土交通大臣賞】東京地下鉄株式会社
「みんなでECO.」

(概要)
 東京地下鉄株式会社では、平成25年にこれまでの各種地球環境保全施策をとりまとめ、かつ、長期的視点に立って環境への取組みを方向づけることを目的として、東京オリンピック・パラリンピック開催予定の平成32年度までを計画期間とした、長期環境戦略「みんなでECO.」を策定した。具体的には、「東京メトロ自らのエコ化」「東京メトロを使ってエコ」「沿線地域とエコ」の3つのテーマに基づき取組みを進めている。

【東京メトロ自らのエコ化】
エネルギー消費が少ない車両や機器の導入、再生可能エネルギーの活用、リサイクル・リユースや資源の効率的な利用による廃棄物削減、振動・騒音の低減などの取組みをこれまで以上に積極的に推進し、事業活動における環境負荷を可能な限り低減
車両の走行用消費電力量は、旧型の日比谷線3000系を「100」とした場合、千代田線16000 系車両・銀座線1000系車両は「39」に過ぎず、大幅な省エネルギー化を達成
地下鉄で必要となるエスカレーターや冷房、照明などの電気設備の省エネ化を進めるため、氷蓄熱空調システム、自動運転装置付エスカレーターの採用、サインシステム・照明のLED化を推進
東西線浦安駅へのリニューアルに際し、壁面緑化、太陽光発電システム、膜屋根を導入するなど、環境配慮型駅を建設
電車がブレーキをかけたときに発生する回生電力を付帯用電力として活用する駅補助電源装置の研究や、車内空調や照明などに使われる電力を供給する補助電源装置に世界で初めてSiC(シリコンカーバイド)半導体素子を採用するなど、環境負荷低減に向けた新技術を導入 等
【東京メトロを使ってエコ】
安全で質の高い鉄道サービスの提供を着実に推進し、バリアフリー化や観光情報の発信等を行うなど地下鉄施設の利便性向上を図り、「東京まちさんぽ」等沿線の魅力を体験する各種のイベントを開催するなど、エネルギー効率の良い輸送機関である鉄道の利用を促進することで環境負荷を低減 等
【沿線地域とエコ】
東京都主催の「海の森」プロジェクトへ参加し、苗木の植樹や植樹用の苗木づくりを行うなど、沿線地域と連携した環境保全活動を推進 等

(授賞理由)
 2020年度に向けた長期環境戦略「みんなでECO.」のもと、中長期的な視野で環境への取組を進めており、総合的な環境対策を実施している点が高く評価された。具体的には、積極的な環境対策投資による環境性能の高い車両の導入や、太陽光発電システム、壁面緑化、膜屋根を導入した環境配慮型駅舎(東西線浦安駅)の建設などを行った。また、回生電力を駅施設へ活用するための駅補助電源装置の研究や補助電源装置へのシリコンカーバイド半導体素子の採用など環境負荷低減に向けた新技術導入なども積極的に取り組んでいる。同社の積極的な取組により、他の鉄道事業者への広がり及び鉄道分野の低炭素化の促進が期待できることから、大賞を授賞することとなった。



【大賞 環境大臣賞】藤沢市、いすゞ自動車株式会社、江ノ島電鉄株式会社、神奈川中央交通株式会社
「藤沢市低炭素社会の実現に向けた交通体系推進プロジェクト」

(概要)
 藤沢市では、これまで過度な自家用自動車利用から、公共交通へ転換する施策を進めてきた。施策の体系化を進めるなかで、昨年度、「藤沢市交通マスタープラン」及び「ふじさわサイクルプラン」を策定したことで、交通環境の改善を進める目標が定められた。平成26年からは、「交通マスタープラン」に掲げる施策を効率的かつ効果的に展開していくため、「藤沢市交通アクションプラン」の策定を進めつつ、藤沢市や交通事業者等による様々な取組を推進している。
地域提案型のバス路線は、平成26年8月現在、13路線に及び、平日1日あたりの乗降客数は、1万人を上回るものとなっており、多くの路線で利用が定着
連節バス、PTPSを組合せた導入効果については、湘南台駅西口から慶応大学に至る区間で導入されており、輸送力の改善に伴い、湘南台駅西口の滞留人員総数が40%以上減少。
さらに速達性が改善し、朝のラッシュ時間帯の所要時間については、2分30秒短縮
バスロケーションシステムの導入については、平成21年度から本格的に導入を進めており、市内でのアクセス件数は直近では1日あたり9,000件を上回る利用
湘南ライフタウン周辺においてもPTPS・バス優先レーン等が整備されており、駅と地域を結ぶ街中でのBRT化を目指して構想を立案
ふじさわサイクルプランに基づき、バス停付近に駐輪スペースを設け、自転車からバスへの乗換を促すサイクル・アンド・バスライドを実施
いすゞ自動車は、ミドリムシ由来のバイオディーゼル燃料DeuSEL(デューゼル=DIESEL+euglena)を開発したユーグレナ社と提携し、DeuSELで走るシャトルバスを湘南台駅からいすゞ藤沢工場まで定期的に運行
その他、多様な主体によるまちづくりにおいても公共交通等の環境に配慮した移動手段の確保等の取組も推進

(授賞理由)
 藤沢市では、低炭素社会に向けて、多様な主体による優れた取組が多数実施されており、その結果、環境負荷の低減が推進されていることが高く評価された。藤沢市は、中長期的な視野で都市計画、交通マスタープラン、サイクルプランを策定し、環境配慮型の交通まちづくりを推進すると共に、事業者と連携してPTPSを伴った低床型の連節バスを国内で初めて導入し、引き続き運行している。また、湘南ライフタウン周辺で整備されているPTPSとバス優先レーンに加え、新規にバスターミナルを設置し、BRT構想を具体化しつつある。さらにスマートタウンの普及やミドリムシからつくったバイオディーゼルバスの運行といった先進的な取組を実施していることから、大賞を授賞することとなった。



【優秀賞】当別町
「当別町コミュニティバス事業」

(概要)
 当別町は、自治体が赤字補填している路線バスと民間の無料送迎バスを一元化した官民共同のコミュニティバス(ふれあいバス)を運行し、全国的に注目を集めている。運行費用は、大学・町・企業からの負担金を財源とし、路線バスを運行している。また、廃食用油由来のバイオディーゼル燃料(BDF)を使用し、経費の削減とCO2の削減を図っている。このバイオディーゼル燃料の取り組みの特徴として、回収から精製、使用まで同一事業者が行うため、輸送によるCO2発生がなく、精製と使用を同一事業者が行うこと、また、バス事業者が自動車整備を主としているため、車両とバイオディーゼルの両方に精通し、トラブル対応も迅速に行われているところである。このように、町内で集めた油で住民の足を確保する、人・資源を好循環させた循環型コミュニティバスとして取り組みを進めている。

平成25年度はバイオディーゼル燃料の使用により、運行経費を1,403,298円節減
ふれあいバスはオフセット・クレジット(J-VER)の排出量削減プロジェクトのモデル事業として認定され、方法論策定の参考事例とされ、この方法論に基づき、平成22年12月、削減された温室効果ガス54tを全国で初めてJ-VER化
当別町地域公共交通活性化協議会と当別町は、全日本空輸株式会社(ANA)と、J-VERのクレジット取引に関する協定を、平成22年7月15日に締結し、ふれあいバスで削減した温室効果ガスによるクレジットをANAが購入し、ANAオープンで排出される温室効果ガスとオフセット(相殺)を実施  等

(授賞理由)
 路線バスと民間の送迎バスを一元化した官民一体のコミュニティバスを町内で回収したバイオディーゼル燃料により運行し、さらにはJ-VER制度に基づくオフセット・クレジットを組合せ、交通・環境一体となって成果を挙げている取組みは全国に例がなく、国内他地域の規範となり得る取組みである点が評価された。


【奨励賞】株式会社 みちのりホールディングス
「みちのりグループの持続的な公共交通ネットワークの確保・維持に向けた取組み」

(概要)
 みちのりグループは、岩手県北自動車・福島交通・会津乗合自動車・関東自動車・茨城交通で構成され、事業テーマとして「交通ネットワーク、観光、環境」を掲げ、グループ5社において交通事業(乗合バス、高速バス、鉄道、タクシー)、観光事業(貸切バス、観光船、ホテル、旅行)、車両整備事業等を展開している。
 グループの経営改善の特徴としては、「1.縦串と横串の両輪での経営支援:常駐者による経営・運営(縦串)と事業分野単位の横串機能による常駐協業型支援」、「2.広域連携効果:ベストプラクティスの横展開やスケールメリットの追求による単独では成し得ない改善効果の創出」が挙げられる。これにより、持続的な公共交通ネットワークの確保・維持を目指しており、交通環境対策に関連した事業としては、主に以下の取組を5社で展開している。

@
乗合(路線)バスの利用促進:ICカードの導入・活用、通学定期券の販売強化等
地域限定カードとしての利点を活かしたグリーン定期券(エコ通勤の促進)等の実施と、高校生の通学におけるマイカー送迎から乗合バスへの移行促進の取組み 等
A
観光におけるバス利用の促進:路線バスの旅、高速バスの広域連携等
往復乗車券と沿線施設の入場料や拝観料、特典クーポン等をセットにすることで、路線バスに乗車する観光客を増加させる取組み 等
B
ドライブレコーダー導入による安全確保と燃費改善
データ活用による事故の検証と乗務員教育(安全運転、乗客との接遇改善)、燃費改善の取組み
C
PHV(プラグインハイブリッド)車両によるカーシェアリング事業と電気バスの導入
スマートコミュニティプロジェクトとしてのカーシェアリング事業と、ゼロエミッション自動車として電気バスをマイカー規制が実施されている観光地の路線へ導入
D
バスの乗り方教室の実施  等
生まれた時からマイカーで生活をしている子どもに、バスという乗り物の楽しさを知ってもらうとともに、地球温暖化対策としてのバス利用の大切さを伝える取組み

(授賞理由)
 人口減少が進み、公共交通の維持が難しくなりつつある地域で、積極的に多様な公共交通活性化の取組みを推進している。持続的な公共交通ネットワークの確保・維持を目指すとともに、交通環境対策にも意欲的に取り組んでいる。グループのネットワークを活かした広域連携や横展開なども期待され、これらの一連の取組が評価された。


【奨励賞】あきたEVバス実証コンソーシアム
「秋田発オリジナルEVバス『Elemo-Akita』の実証運行」

(概要)
 あきたEVバス実証コンソーシアムでは、路線バスの電動化改造と営業路線での実証運行を通じて、環境負荷の少ない次世代交通システムのあり方を県民・市民と共に模索しており、具体的には、電動バスの開発・改造から営業運行まで、県内企業及び支援機関である国・県の公設試等と一体的な取組みを行っており、電動バスを活用した新たな公共交通システムの構築を目指している。また、本電動バスを県内企業の技術的な課題解決の実証プラットフォームと位置付け、電動バスに搭載する製品の改造改良に優位な実証環境を提供している。
 例えば、電動バスに搭載されているBBSアラーム(広帯域周波数アラーム)については、バスのCANデータをネットワーク経由で蓄積しており、合わせて車内外の小型カメラによる映像を確認することにより、アラームの実走行時の効果を確認できるといった取組みである。
 事業の実施主体は、秋田県内民間企業12社による当コンソーシアム(代表:秋田いすゞ自動車(株))が主体となり、国・県の公設試や経済界、行政の支援を受けながら事業を推進している。

営業路線で運行させることにより、電動バスに必要な機能の洗い出し、検証と製品開発を実施
将来的には、環境負荷の少ない公共交通システムの構築を目指し、降雪地対策、高齢福祉社会対策(屋内乗降、コンパクトシティ化など)といった地域特性に則した実用的な次世代交通システムの実現を意図
電動化に際しては、通常の中型ディーゼルバスをベース車両として、必要最小限の改造に止めることにより、開発・改造費用を低減
秋田県内の技術や製品を多数採用し、秋田県内企業の技術力や製品を訴求することも目的の一つとして取り組み  等

(授賞理由)
 環境負荷の少ないEVバスを開発から運行、メンテナンスまで地域の産学官で取組み、実際の営業路線での運行に至っている。試乗会の実施など市民への普及啓発にも努めている。環境配慮に加え、地域産業の活性化にも大きく貢献するなど、これらの優れたプロジェクトの実施手法が評価された。

     
     
 
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