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(1)地域概要 |
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●対象国
日本
●対象都道府県
奈良県
●対象市町村
主に奈良市、大和郡山市、天理市、生駒市
●地域概要
人口 1,410,754人(奈良市367,587人、大和郡山市90,326人、天理市70,744人、生駒市115,094人)(平成19年11月1日現在)
就業者数 第1次産業20,349人、第2次産業160,754人、第3次産業441,326人(平成17年国勢調査)
面積 3,691.09km2(奈良市276.84 km2、大和郡山市42.68
km2、天理市86.37 km2、生駒市53.18
km2)
●交通特性(交通手段別の分担率) |
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鉄道 |
バス |
自動車 |
二輪 |
徒歩 |
奈良県 |
37.9% |
1.4% |
44.3% |
10.9% |
5.4% |
奈良市 |
45.2% |
3.3% |
35.1% |
11.4% |
5.0% |
大和郡山市 |
32.8% |
0.7% |
45.4% |
14.6% |
6.5% |
天理市 |
21.0% |
0.6% |
52.2% |
17.2% |
9.0% |
生駒市 |
55.7% |
1.2% |
34.5% |
4.3% |
4.4% |
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出典:第4回京阪神パーソントリップ調査(平成12年) |
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(2)取組 |
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○平城遷都1300年記念事業に向けたモビリティ・マネジメント等による公共交通利用促進
●概要
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平城遷都1300年記念事業を契機とした自動車の交通流対策、地球環境問題への対応の必要性から、観光交通向けP&Rの推進、NPOによるESTシンポジウム・ワークショップ、企業向けTFP、鉄道路線のサービスレベルの向上に合わせた沿線住民向けTFP等の取組を進めている。 |
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●地域計画での位置づけ |
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環境計画、交通計画において特にESTは明記されていない。ただし、2006年3月に新奈良県環境総合計画を策定し、基本目標「地球環境保全への取組の推進」として、県の施策展開と県民が果たすべき役割について示し、重点プロジェクト「ストップ温暖化の環拡大プロジェクト」を示した。その中では、CO2排出源対策の推進として、環境に配慮した自動車利用の推進等を挙げている。さらに、2007年3月には実践的な行動指針として「ならストップ温暖化アクションプラン」として事業所と家庭のそれぞれでの取り組み方法を示している。アクションプランでは、事業所編に環境負荷の小さい自動車利用と低公害車の導入など、家庭編にノーマイカーデーやエコドライブが含まれている。 |
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●ESTに係る目標値 |
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平成17年度:20t-CO2/年削減
平成18年度:400t-CO2/年削減
平成19年度:800t-CO2/年削減 |
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●取組手法 |
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低燃費車導入 |
道路整備 |
交通管理の高度化 |
公共交通改善 |
歩行者空間の充足 |
行動変容 |
その他 |
○ |
○ |
○ |
○ |
------ |
○ |
------ |
CNG車両等導入促進事業 |
道路改築等交通円滑化事業
JR奈良駅付近連続立体交差関連事業
LED信号機用灯器設置事業 |
管制エリアの拡大事業 |
パーク&ライドシステム推進事業
高速バスロケーションシステム導入事業
観光推奨バス事業
近鉄大和西大寺駅周辺駅前整備事業
共通乗車カード等の検討
レンタサイクリング活用事業 |
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モビリティ・マネジメントの実施
マイカー通勤等の自粛運動
EST啓発推進事業 |
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●CNG車両等導入促進事業 |
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公用車へのハイブリッド車の導入(平成17年度 1台、平成18年度 1台)、ゴミ収集車へのCNG車両の導入(平成17年度14台、平成18年度10台、平成19年度10台)等を進めた。 |
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●道路改築等交通円滑化事業 |
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二条大路南5丁目交差点改良(平成18年度工事完了)、法華寺町東交差点(平成18年度用地買収完了)、R308大宮道路改良(工事中)による道路交通の円滑化を推進した。 |
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●JR奈良駅付近連続立体交差関連事業 |
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JR奈良駅東側の奈良橿原線の道路改良を行い、平成18年3月から4車線供用を開始した。 |
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●LED信号機用灯器設置事業 |
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ハロゲン信号機からLED信号機への転換を推進しており、県内のLED信号機は平成17年度には794器、平成18年度には840器、平成19年度には947基に達するなど順調に転換を進めた。 |
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●管制エリアの拡大事業 |
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信号機の集中制御化を推進し管制エリアの拡大を進めており、県内の制御機数は平成17年度に580、平成18年度に609、平成19年度に635に達するなど拡大を続けている。 |
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●パーク&ライドシステム推進事業 |
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観光シーズンの奈良市内の交通渋滞を緩和するため、春秋の観光シーズンにパーク&ライドシステム(パーク&バスライド、パーク&サイクルライド)を国土交通省・奈良県・奈良市がそれぞれ運営するとともに、それらを統一して案内するチラシを作成し、来訪者のパーク&ライドの利用を推進した。 |
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●高速バスロケーションシステム導入事業 |
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平成18年11月から関空リムジンバス路線にバスロケーションシステムを導入し、バス利用者の利便性向上を図った。 |
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●観光推奨バス事業 |
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観光客のバス利用を推進するため、世界遺産ぐるっとバス、奈良・西の京・斑鳩回遊ライン等の観光バス事業を推進している。ただし、世界遺産ぐるっとバスは平成19年3月に廃止し、以降は定期観光バスで対応している。 |
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●近鉄大和西大寺駅周辺駅前整備事業 |
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近鉄大和西大寺駅前広場を平成17年度に整備している。歩道幅員の拡幅、路線バスとタクシーの乗降場やプールを設置し、利用者の安全性と利便性を向上させた。 |
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●共通乗車カード等の検討 |
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共通乗車カードの動向調査を実施し、平成19年4月より近鉄・奈良交通がPiTaPaを導入し、利用者の利便性を向上させた。 |
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●レンタサイクリング活用事業 |
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歩行者・自転車による観光を促進するため、レンタサイクルの乗り捨てシステムを検討するとともに、携帯端末による観光ルート案内や観光地・店舗(飲食店や土産物屋)、トイレ・休憩所などの情報提供を行う実証実験を実施した。 |
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●モビリティ・マネジメントの実施 |
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シンポジウムを開催するとともに、事業所向けおよび鉄道のサービスレベルの改善に合わせた近鉄けいはんな線沿線地域住民向けのトラベル・フィードバック・プログラムを推進した。 |
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●マイカー通勤等の自粛運動 |
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ならマイカーひとやすみデーを毎月20日に実施するとともに、奈良市職員の参加を促進した。 |
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●EST啓発推進事業 |
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シンポジウムの開催や啓発チラシの配布等を行いESTの普及啓発を推進した。 |
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(3)効果 |
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●実施の効果 |
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削減量(t-CO2) |
目標達成率(%) |
効果持続性 |
他地域展開性 |
低燃費車 |
CNG車両等促進事業 |
207 |
740 |
○ |
○ |
道路整備 |
道路整備 |
- |
- |
○ |
○ |
交差点改良 |
522 |
181 |
○ |
○ |
LED信号機導入 |
106 |
- |
○ |
○ |
交通管理 |
管制エリアの拡大 |
- |
- |
○ |
○ |
公共交通 |
観光バス路線支援 |
28 |
- |
× |
※ |
歩行者 |
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行動変容 |
MM |
457 |
- |
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※ |
公用車の利用抑制 |
260 |
2330 |
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○ |
マイカー通勤自粛 |
69 |
480 |
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○ |
期間限定P&R |
57 |
282 |
× |
○ |
期間限定P&CR |
17 |
67 |
× |
※ |
環境フェアーの開催 |
12 |
120 |
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○ |
その他 |
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×:継続した投資が必要 ※:地域特性や条件が必要 |
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●効果検証の手法の特徴 |
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CNG車両促進効果については市の公用車の利用実績から算出している。交差点改良については事前事後で渋滞長を調査し、渋滞長の減少から二酸化炭素排出削減量を算出している。観光推奨バス路線支援による効果については、バス輸送実績人数とルート延長を乗じ、自動車による場合との差から削減量を算出している。環境フェアーの開催による効果については、シンポジウム、フェアー参加者がアイドリングストップを実施したものとして算出している。 |
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(4)評価 |
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奈良県では、2010年に平城遷都1300年記念事業の開催を控えており、今の段階から公共交通の利用促進を図ることなどを基本として、ハード・ソフトいずれについても可能な事業から効率的・効果的に施策の実施を進めている。
特に、国土交通省・奈良県・奈良市と運営主体によるパーク&ライドシステムの統一的な案内チラシの作成を行い、ESTシンポジウムやワークショップはNPOが実施するなど、複数の主体による活動を効果的に組み合わせている。
また、同地域は居住者や立地する事業所に関わる定常的な交通需要に加えて、歴史ある観光地として非定常で多様な方面から来訪するピーク性の高い観光自動車需要に、ESTの視点からどう対処していくべきかの課題を持った地域である。
モデル事業の成果を見ると、観光客も利用する可能性の高い乗合いバスなどに対するCNG車両等促進事業や交差点改良、LED信号機導入といったインフラ、ハード面での整備により大きな二酸化炭素削減量を達成していることが分かる。これらが、主に対策の中心となっている。
地域内々移動を担う軌道系交通が無い奈良市内ながら、定常での移動者、非定常での観光来訪者双方の需要、特に車での来訪に寄与する道路改良などによる円滑化策、それを支える交通システムの稼動により排出されるCO2削減、CNG車両等促進事業については、当初目標よりも大幅な削減を達成し、大きな貢献となっている。
また、公用車の利用抑制及びマイカー通勤自粛といった自動車の利用を直接削減する取組み、MMによる交通行動変容促進等、ソフト面での施策による削減効果も大きく、多くの施策を組み合わせた形でバランスのよい取組みが行われている。
他地域への展開可能性は低いものの、観光地である特性を生かして、ピーク流動を踏まえた観光バス路線支援、期間限定P&R、P&CRを実施し二酸化炭素排出量を削減しており、地域の特性に応じた施策展開が行われている。
部分的な道路施設改良での交通容量増加は見込めても、休日などに集中する需要に対応した大幅な道路容量対策は古都という特性から行い難い。このため、空間効率の低い自動車を前提として市内に出入りする需要を処理するのではなく、他の交通手段としてパーク&バスライドやパーク&サイクルで担う必要性が他地域よりもより高く、市外縁部での複数箇所でのパーク&ライド構想は長期的な視野からも重要な役割を担うものである。
ただし、予算面での問題からESTの事業としては施策に継続的に取り組めない可能性も存在するため、施策毎に今後の予算獲得や、継続的に費用投下が出来るような事業モデル自体の構築が課題となる。 |
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(5)連絡先、関係窓口 |
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奈良県企画部観光交流局交流政策課交通政策グループ
■電話番号 0742-27-8483
■FAX番号 0742-23-1425
■HPアドレス (平成19年度中に開設予定の奈良県モビリティ・マネジメント協議会のHPの中に作成予定) |